4.町づくりブレスト091201

 「新」と「旧」の概念について。
 「新」とは、テクノロジー、経済活動、思想、文化などを指し、「旧」とは伝統、しきたり、祭(イベント)などの項目を示すとする。
 「新」に分類されるモノは、外来的性質が強く、動的要素または"流れ"として扱われる。「旧」に分類されるモノは、内在的性質を持ち、固定的であったり"点"として扱われる。環境と主体、線と点、船と潮というようにイメージすると良いだろう。

 現在、ほとんどの「旧」から既にそれ自体の価値が失われつつある。これはその地域に住む人々が「旧」に対しての価値を見失っているためであり、主観的価値の喪失である。この要因としては時間経過による劣化であったり、内輪化、継承者の不在による縮小化などがあげられるだろう。こうした形で、ネットワーク化と分散化が進む社会の中で、「旧」という"点"は孤立し、忘れ去られているのである。
 これに対して、「新」という新しい流れ、線の上に「旧」を乗せることで、その実(じつ)の価値観を見直し、アピールすることが「旧」の再活性化に繋がると考える。これは商品をディスプレイするというイメージにすればわかりやすいと思うが、商品(この場合は「旧」)の価値を上手く見せるには、客の流れであったりその時分のニーズ傾向の観測(マーケティング)を検討することが重要となる。
 また、もちろん「新」だけを取り入れ、「旧」という内実とともに、深く理解しないままにディスプレイすることは危険である。形だけの広告は人の心を深く掴むことはない。
 「新」と「旧」という概念でまちづくりを考えた場合、重要なのは"どの流れに、何を乗せるか"ということを熟考することである。